新六本木クリニック
精神科医・院長 来田 誠
京都大学医学部卒業後、大阪赤十字病院、医療法人養心会 国分病院、大和西大寺きょうこころのクリニックを経て、2016年2月に新六本木クリニックを開院。クリニックでの業務と並行して周辺企業での産業医としても活動し、六本木で働く人のメンタルケアを支える。
新六本木クリニックは、六本木駅から徒歩5分、多くの企業のオフィスが集まる六本木ヒルズの目の前に2016年2月に開院したばかりの精神科クリニックだ。近隣には東京ミッドタウンといったほかのオフィスビルも立ち並び、忙しく働くビジネスパーソンの利用が多い。働く人のメンタルヘルスを専門とする来田院長は、クリニックでの診察のほか、周辺の企業での産業医活動も行う。「企業での産業医活動も、クリニックでの治療も、より簡便にできることを考え、この地に開業しました」と語る。
新六本木クリニックでは、六本木で働く人々が気軽に利用できるようにさまざまな工夫を凝らしている。従来、患者の多くは自宅近くでクリニックを探すことが多かったが、診察時間までに訪ねるために早めに仕事を切り上げて急いで向かう必要があるなど、ビジネスパーソンにとってはどうしても敷居が高くなってしまう。オフィス街にある新六本木クリニックは仕事の合間にも訪れやすく、また、20時すぎまでやっているので仕事が終わってからも訪ねやすい。そして、少しの空いた時間でもスムーズに診療を受けられるように完全オンライン予約制としているだけでなく、どうしても時間がない方や休みの日に自宅から診察を受けたい方のために、遠隔診療も取り入れている。
「もっとも大切にしているのは、治療の継続率です。一度治療が途切れてしまうと、患者さんはどうしても次に行きにくくなる。その結果薬が途切れてしまい、病気が悪くなる。遠隔診療によってチャネルが増えれば、治療の離脱率が減り、続けていただける割合が高くなると考えています」という来田院長。すでにアメリカでは精神科遠隔医療が普及しはじめており、コミュニケーションが中心になる精神科は、ビデオチャットを使った遠隔診療との相性がよい科であると来田院長は考える。「遠隔診療は、お仕事で忙しい患者さんがどうしても時間が取れない時に使っていただいたり、休日は逆に自宅からオフィスのある六本木までくるのは不便ですからおうちで診察を受けたいという場合に使っていただいたりしています」。うつ病やパニック障害といった病気ととともに社会生活を送る患者にとって、対面診療と適宜組み合わせることで、無理なく治療を続けることができる仕組みだ。
優しい関西弁が印象的な来田院長は、兵庫県の出身。中学生の時に、阪神淡路大震災で被災。地震の影響で学校が3ヶ月ほど休みになってしまい、ぽっかりと空いた時間に担任の先生の勧めで将来について考えるようになり、さまざまな職業の働く大人たちと話す機会を持った。その頃に被災地で活躍する医療関係者の話を聞いたことが医師を目指すキッカケとなった。「人の役に立つ仕事がしたいと思いました。その頃は脳や心にも興味があり、そこで出した一つの解が『精神科医』でした」。以来、高校、大学、研修医時代と「この仕事をしたいという思いは全く変わらなかった」という。
医師になってからは、精神科医としてさまざまな役割を勉強したいという考えから総合病院、精神病院、地域の診療所で働き経験を積んできた。新六本木クリニックを開院する前に勤めていたのは、奈良県奈良市の中心部にある精神科クリニック。そこでも働く人たちのメンタルケアに取り組んでいた来田院長。「実は、この新六本木クリニックを開院した時に最初に来ていただいた患者さんは、奈良で診ていた患者さんだったんです」。転勤で奈良から東京に移っていた患者自身が来田院長の名前で検索して訪ねてきてくれたことで、以前の治療を再開することができた。「精神科の治療では、長い関係性がとても大事です。お会いするのがしばらくぶりでも、続きの話ができる。前の治療を気に入っていただけていたら、その続きもできます」。その後も奈良で診ていた患者さんが何人も訪ねてきたそうだ。過去のことも含めて信頼できる医師を頼りたいという患者の気持ちと、できるだけ途切れることなく治療を継続できるようにしていきたいという院長の気持ちがつながったのだろう。
多忙な日々を送る患者が気軽に治療を受けられることを第一に考える新六本木クリニックでは、簡便性へのこだわりが随所に感じられる。完全オンライン予約制など可能な限りのIT技術を取り入れているため、そうした取り組みに理解や関心のあるスタッフを集めたという。特に遠隔診療はインターネットを使ったビデオチャットを介して患者とコミュニケーションをとるので、スムーズに実施するためにはスタッフにも相応のITリテラシーが求められる。受付スタッフの募集にジョブメドレーを利用したという来田院長は、「インターネットの求人サイトを使って就職活動をしているということは、その時点でITリテラシーがそれなりにある人だと想定されます」と、利用した理由を語る。
院内には若手医師も在籍し、一般内科・呼吸器内科の診療も行う。患者が忙しい時にいくつものクリニックを回らなくて済むよう、必要な医療を同時に提供することが狙いだ。今後も「できること自体を増やしていきたい」と考えており、スタッフは随時募集していく。
診療のモットーは「きちんと理解をし、納得をしたうえで医療を受けてもらうこと」。来田院長は「私たちに任せてもらえるのはいいことですが、意図や意味を患者さん自身が納得したうえで治療を受けてもらうことが大切。ビジネスパーソンが多いからこそ、きちんと理解をしたいというニーズも感じます」と言う。
患者自身が納得できるように十分な情報を得られるようにするためには、医師と少しでも多くのコミュニケーションを取ることが大切だ。新六本木クリニックは、受付や待合室も含めて物が少なく、ミニマルな印象を受けた。ネット予約によって待ち時間がそもそも発生しにくいので、長居することを想定していない待合室だからだろう。こうしたところからもコミュニケーションを図る場である診察に十分な時間をとることを第一に考えていることが感じられた。
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