イラスト:畠中 美幸

 中部地方にあるA整形外科診療所は、連日多くの患者が来院する、比較的規模の大きな診療所だ。職員数も多く、B院長は診療所運営のサポートを目的に事務長を配置し、2人で労務管理業務を行っている。

 ある日、B院長は事務職員のC子が転居したという話を他の職員との会話で耳にした。C子は両親と共に住んでおり、その家の最寄り駅から公共交通機関で通勤していた。だが最近、診療所の近隣に転居して車での通勤を始めたという。

 B院長がその話を人づてに聞いてから数カ月が経っても、C子は住所変更の手続きを進めなかった。そこでB院長は、事務長経由でC子に転居の有無を確認した。すると確かに転居して車で通勤しており、職員用駐車場を利用していることが分かった。そのため、転居に伴う手続きを急ぎ行うように、事務長を介してC子に依頼した。だが、C子は手続きをなかなか進めようとせず、B院長は改めて督促をしたものの、書類は提出されない状態が続いていた。

 A診療所では、提出物の期限を守る職員と期日を守らない職員に二分している。期日を守らない職員はいつも決まっており、C子はこの件のみならず、過去にも提出期限を守らないことがしばしばあった。困惑していたB院長は対応策を顧問の社会保険労務士に相談した。