Illustration:ソリマチアキラ

 長作屋には、創業当初から会社を支えてきてくれた“番頭”のYさんがいる。もともとは有名な民間病院の事務方のナンバー2で、ボクはMR時代、その病院を担当していた。

 製薬企業を辞め、起業したばかりの頃、飲みに行った席で、「Yさんのように医療と経理に精通した人がほしいなあ。Yさん、どう?」と、軽い気持ちで口にした。するとその夜遅く、連絡があり、「長作屋さんのもとで働くことに決めたよ。事務長には明日朝、伝える」と告げられ、ボクは腰を抜かしそうになった。会社はできたばかりで、40代半ば過ぎの妻子ある男性を雇う体力などない。ただ、Yさんの心意気がありがたかったし、事業拡大には経理・財務の存在が重要だと感じていた。その日、寝酒が進むにつれ、Yさんを社員として迎える心が固まった。