今回の教訓

 今回の事例では、従来通り1日分の消化になることを説明して納得してもらいましたが、本人は最後まで「有休を1日分消化するのに、4時間分の給料しかもらえないのはおかしいのではないか!」と主張していました。

 もちろん労基法では、所定の労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うことと定められていますので、土曜の有休消化に対して支払う給料は、慣例通りの4時間分で全く問題はありません。ただ、それを、本人の納得がいくまで説明することは簡単ではありませんでした。

 病医院では特に、曜日によって就業時間が異なることが多いでしょう。また、正職員のみならず、パートタイマーであっても有給休暇は付与しなければなりません。今回のような、ちょっとした問題に随時対応する煩わしさをなくすためにも、あらかじめ年次有給休暇のルールを明文化しておき、職員に周知することをお勧めします。

(このコラムは、実際の事例をベースに、個人のプライバシーに配慮して一部内容を変更して掲載しています)

著者プロフィール
中宮伸二郎(社会保険労務士法人ユアサイド代表社員)●なかみや しんじろう氏。立教大法学部卒業後、社会保険労務士事務所勤務を経て2007年に社会保険労務士法人ユアサイドを設立。非正規雇用問題を得意とし、派遣元責任者講習の講師を務める。