A診療所は職員十数人で、院長以外は全て女性ばかりで構成されている。これまで、職場内で比較的和気あいあいといった雰囲気があったが、ある職員のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の投稿によって職場内にギスギス感が生じ、1人、また1人と去っていってしまった。
FacebookなどのSNSを利用している医療機関の職員は少なくない。病医院が、施設の取り組みをPRするために積極的に利用しているケースも多く見られる。
費用をそれほど掛けることなく宣伝ができるというメリットがあるものの、投稿した内容が倫理観を欠くものであったり、配慮に欠ける内容であれば、世間から一斉に非難を受けるという、いわゆる「炎上」につながるリスクがある。
本コラムでも、院長のプライベートな事柄を職員がSNSに書き込み、それを患者が見てしまったケースが紹介されている(関連記事)。こうした対患者の問題に加え、SNSへの不用意な書き込みが職員間のトラブルにつながることもあるので要注意だ。
「私の教育方法は間違っていないよね?」
A診療所のベテラン看護師B子は、SNSを積極的に利用し、立ち寄った飲食店の写真や会った友人の写真などを頻繁に投稿している中で、職場の人間関係の愚痴を書き込んでしまった。
何気なく「私の教育方法は間違っていないよね? 職場にこんな仕事のやり方する人がいるんだけど、みんなどう思う?」などと書き込んだのだが、同じ職場のC子の目に留まり、C子は自分のことを指しているものと思い、B子とのコミュニケーションを断絶してしまった。
そもそもB子はベテランで、職場のご意見番のような存在になっていることから逆らうこともできず、結局、C子は「家庭の都合で」と退職をしてしまった。もちろん、家庭の都合というのは円満に退職をするための口実で、本音は人間関係の悪化にあった。