外来主任は院長に、「入職してから、師長は何も変わっていない」という厳しい表現で看護師長への不満を語った。
主任はもともと、看護師長の経験・実績が不足していると感じ、部下の指導に関して不安や疑問を抱いていた。部下という立場上、文句は言えないと感じていたところがあり、直接「もっと○○してほしい」などの要望を伝えることはなかったという。師長がそのような状況であるため、主任が現場の管理を取り仕切る必要があり、ついつい厳しい口調で指導してしまったというのが事の真相だった。
「師長は相談しても何も解決してくれない」
今回のように看護師が職場への不満を申し出たケースでも、看護師長が自ら部門内のコミュニケーション改善を図ることはなく、院長に相談してから対応を決定することが多く、看護師らから「師長は相談しても何も解決してくれない」という声が出ている事実も把握できた。
一方で院長も、看護師長との面談の場で業務報告などを受けるにとどまり、職員個々の状況やその変化、業務・職場環境に関する要望・不満などを確認し、意見や解決の方向性を相談する機会がほとんどなかった。
また、院長は日ごろ、クリニック開設時から在籍する外来主任と言葉を交わすことが多く、実際に看護師長よりも話しやすいと感じていて、そのことについて看護師長が不愉快に感じていることも気付いていた。院長自身にそのつもりはなくとも、「自分よりも外来主任を信頼している」と感じさせる言動があったのかもしれないと反省するに至った。
看護師長自身も、管理者としてのスキルに不安があり、積極的に部下の育成や指導に関与できない弱さがありながら、この部分を伸ばすことを怠り避けている傾向があると思われた。様々なトラブルが生じた際であっても、外来主任が行ってくれればよいことと諦観し、院内調整に消極的な姿勢を見せている要因の1つになっていると考えられた。