Illustration:ソリマチアキラ

 年末年始は、実家には戻らず自宅で過ごした。おせちを食べながら、ボクは今年の薬局について大いに考えた。2021年の薬局業界のトピックは、何といっても8月にスタートする薬局認定制度だろう。

 これまでは、掘っ立て小屋のような建物で必要最小限の薬の説明だけしている薬局も、アメニティに配慮し、医師や薬剤部などと連携し、薬物治療の効果と安全性を高めるために汗を流す薬局も、同じ「薬局」だった。それが、頑張れば「いい薬局」というお墨付きをもらえるというのだから、すごいことだ。薬局の差別化が始まろうとしている。

 ただ、地域連携薬局は高いハードルとなりそうな認定要件は盛り込まれていない。プライバシーの保たれた構造なんて、取り入れている薬局は多い(ちなみに、20年以上前だが、診療所の外来診察室のような服薬指導室を作ったら、当局から「個室はダメだ」と指導されたが、あれは一体、何だったのだろう……)。

 「地域包括ケアシステムの構築に資する会議への定期的な参加」も、在宅医療に熱心な薬局であれば、既に取り組んでいる。地域連携薬局の認定は、多くの薬局が取得できるだろう。逆に言えば、地域連携薬局の認定が取得できないようでは、取り残されてしまう。ボクの薬局は全て、地域連携薬局の認定を目指すつもりだ。

 その上で「専門医療機関連携薬局」である。「(がん)」については、癌患者の多い店舗がなく、今すぐの認定取得は難しい。しかし今後、「傷病の区分」が増えれば、薬局ごとに得意分野を生かして、何としてでも認定を取得していかなければなるまい。「地域連携薬局」+「専門医療機関連携薬局(糖尿病)」+「(心疾患)」など複数の認定を持つピカピカの薬局を目指し、今から着々と準備を進めることが大切だ。

 これはチャンスだ!絶対的にチャンスだ!25年ほど前から繰り広げられていた大規模医療機関の門前の陣取り合戦では、ボクは勝てなかった。在宅医療の覇権争いも薬剤師の確保が難しく、大手チェーン薬局に勝てていない。敷地内薬局は言うに及ばず。でも、質を競うのならば勝ち目はある。会社の規模は小さくても、キラキラ薬局ばかりのチェーンになることは可能だ。

 薬剤師もしかりだ。専門医療機関連携薬局(がん)の認定には、専門性の認定を受けた薬剤師が在籍していることが要件だ。薬剤師としての専門性を高めることが、自らの商品価値向上につながるのだ。これまでは、早く正確に薬剤調製できるとか、コミュニケーション能力とか、そんなことばかりが評価されていた。そんなのつまらない!開業医のA先生は、陰気で無愛想で、活舌も悪いけれど、アレルギー疾患の治療に関しては誰にも負けない超一流だった。何度も灰皿を投げつけられたが、大学病院の医師が患者を紹介してくるなんて、カッコ良すぎるじゃないか!薬剤師だって、そういう時代になるのだ。

 それなのに……。2020年秋に募集された日本医療薬学会の地域薬学ケア専門薬剤師の研修に、うちの会社から申し込んだのは何とたった1人だというではないか。どうかしている。今年は、全員が腕を磨く1年にするぞ。そして、全ての薬局で認定を取って、ピカピカ薬局になるんだ。さあ、みんな、頑張るのは、今なんだ!(長作屋)