——勤務先はどのように探されているのですか?

 最初はインターネットなどで見つけた医師紹介会社を利用しました。ただ本当に良い情報というのは担当者が持っていて、オープンになっていないことが少なくない。そうした“クローズな情報”をもらうには、当たり前のことですが紹介会社の担当者と信頼関係を築くことが大事だと思います。

 また、より良い勤務先を紹介してもらうには、当然ながら自己研さんを積むことも必要です。いくら人手不足だからといって、非常勤医を探す側にしてみれば「医師であれば誰でもいい」というわけではない。医療は日々進歩していますし、コミュニケーション能力や協調性も問われます。私はこの点を常に意識して過ごしてきたので、最近は勤務先や知り合いの先生から声をかけてもらうことが増えてきました。

 現在は住まいのある関西のほか、月に数回ですが、北海道と四国の病院へも通っています。なぜ関西に住んでいる私が地方の病院にまで出向くのかといえば、それは「必要とされるから」です。「医局が医師を引き揚げてしまい、医師がいなくなってしまった」病院など、厳しい状況に置かれた地方の病院は少なくないんです。

——どんな働き方を理想だと考えていますか?

 患者さんと私と病院経営者がハッピーになる働き方です。患者さんは病気が良くなり、私は全力で診療しながらも十分に時間があり、病院経営者は患者さんが集まって売り上げが増える。3者が満足ならそれでいいんじゃないかと思います。現状はかなりこの理想に近いと思います。勤務医時代との一番の違いを挙げるなら、オンとオフがはっきりしているところでしょうか。時給に換算したら以前より今のほうがかなり高いと思いますよ。

 今、医療崩壊が叫ばれていますが、非常勤として全国いろいろな地域で診療しているからこそ、医療の地域格差などそれぞれの現場で、今実際にどんなことが起こっているのかを目の当たりにしています。私が見ているのはほんの一部なのかもしれませんが、しかし、そうした現状を知る者として、学会などいろいろな場で「実際に起きていること」について発信していきたいと思っています。