そもそも、看護の始まりは1820年からで、日本で「介護」という言葉が使われ出したのは1970年代後半、介護人材派遣事業の開始は1980年代半ばからです。だからといって、歴史が浅いとの理由で、“ヘルパーいじめ”のような状況を作るのは好ましくありません。ですが現実には、(直接の原因である)「医師に逆らえない」ストレスを解消する手段として、看護師よりも立場の“弱い”職種に集中攻撃するのが得意だったり、さらにそれを習慣にしている看護師がいるのです。そして、この悪しき慣習を引きずったまま、訪問看護師となっている人も決して少なくないと考えます。結果、質問のような事態が起きているのではないかと想像します。

 ケアマネの方には、このような横柄な態度を取る看護師に遭遇したら、「はいはい。今まで医者に虐げられた経験が少なからずあるのね〜。かわいそうな……。残念な人だな」と客観的に捉え、ご自身のストレスを半減していただくことをお勧めします。

 一方、このコラムの読者の大半を占めるであろう看護師の皆さんには、今回のケアマネの悲痛な叫びをぜひ心に留めていただきたいと思います。ベースが医療者ではないケアマネたちとうまく付き合っていくには、医療にまつわる判断や知識を過剰に期待しないことです。大抵の場合、患者の先にはケアマネが存在していますから、“大切なお客さま”との認識を持つことも肝要です。

 「ケアマネの試験には、医療に関する問題も出されるじゃない!」との反論はごもっともですが、試験合格という目的のため丸暗記したに過ぎないかもしれません。現役看護師としてバリバリ仕事をしているからと言って、来春の看護師国家試験に合格する自信があるかと問われれば、返答に窮するのと同じです。

 要は、“餅は餅屋”です。在宅で療養する患者を支えていくために、現時点ではケアマネは必須です。ちなみに、在宅先進国の米国にはケアマネ自体が存在していません。理由は、訪問看護の管理者がケアマネ的な業務一切を担っているからです。日本はこれまで訪問看護がそのような役割を担ってきませんでした。結果、2000年に誕生したのがケアマネであるという事実を、謙虚に受け止めるところから始めましょう。

 目くじらを立てず、患者・家族と接するのと同じように、ケアマネにも上からではなく平易な表現を心がけましょう。全ては療養者のためなのですから〜!!ケアマネをはじめ多職種との連携の合言葉は、「面白しろおかしく・楽しく・仲良く」に尽きるのです。

※本コラムでは、読者の皆さまからの質問を募集しています。訪問看護に関する現場の悩みにエキスパートがお答えします。投稿はこちらから。お待ちしております!


つぼうち のりこ氏●1988年東京女子医大付属看護専門学校卒。同大付属病院、日本医大多摩永山病院などを経て、98年から訪問看護に従事。セントケア(株)訪問看護部次長、(株)ミレニア訪問看護サービス部長を務め、訪問看護事業所の立ち上げと運営・教育に携わる。2013年におんびっと(株)を設立。訪問看護ステーションへのコンサルティングや教育事業を手がけ、14年2月から訪問看護サービスをスタート。