実は私自身、准看護師を経て進学コースに進み、現在に至っています。理由はただ一つ。高校生のころ(一応進学校ではあったのですが)、遊びすぎたため気付いたら全く勉強していなかったという、お粗末な事情があるためです。

 准看護師養成所は中学校卒業レベルから受験可能でしたので、何としても“女工”にだけはなりたくなかった私は、生まれ育った大阪以外の場所(たまたま東京)でこの道を選びました。准看護師として働き始めてすぐ、大阪弁では意思疎通ができないことを痛感し、1カ月後には標準語をマスターし、さらに「この程度の勉強量ではとてもじゃないけど看護師として通用しないな〜」と自覚し、進学コースへ進みました。

 准看護師養成所はあった方がいい!なぜなら、将来、看護師になるための間口の一つと捉えることができるためです。間口が広ければ、それだけ看護師になるきっかけが増えます。ですから、個人的には、日本看護協会が謳っている「准看護師制度廃止論」には賛成できません。

 ただし、ここで肝心なのは、「准看護師で甘んじることなく、きちんと正看護師資格を取る覚悟をしましょう」ということです。でないと、“准看護師推進派”の医師たちに、生涯、便利に安く使われ続けるだけです。

 質問をくださった方はスキルなどに問題ないとのこと。でしたらなおさら、進学することをお勧めします。訪問看護は昼間のお仕事ですから、夜は勉強に充てて準備を始めましょう!なぜこれほどまでに進学を勧めるかというと、准看護師養成所では味わえない数多くの文献に触れる機会がありますし、看護のための思考過程をきちんと習得できるからです(個人差は否めませんが)。

 医師にいいように使われるのは、本来の看護活動ではありません。診療補助がどんなにうまくても、療養上の世話を通して患者の立場に立ち続けることは、看護師にしかできないのですから、『本物』を目指しましょう!!

 話はそれますが……。近ごろ、訪問診療専門のクリニックが増えています。そして、そこには多くの看護師が働いている印象があるのですが、どうして訪問看護ではなく訪問診療に同伴する働き方を選んだのでしょうか。病院での臨床経験が長く、医師がそばにいる環境に慣れているから?看護師だけでの単独訪問は考えられないから?——疑問は尽きません。

 私は、今から15年ほど前に、訪問看護の現場に足を踏み入れた時の衝撃が忘れられません。患者や家族と最低30分(昔の老人保健法で定められていました)、向き合う時間を確保しなさいと法令文に明記されていたこと、そして周りを見渡した時、医師の存在のないすがすがしさに、衝撃を受けたのです。

 とにかくご質問をくださった方、ご連絡お待ちしておりますね!

※本コラムでは、読者の皆さまからの質問を募集しています。訪問看護に関する現場の悩みにエキスパートがお答えします。投稿はこちらから。お待ちしております!


つぼうち のりこ氏●1988年東京女子医大付属看護専門学校卒。同大付属病院、日本医大多摩永山病院などを経て、98年から訪問看護に従事。セントケア(株)訪問看護部次長、(株)ミレニア訪問看護サービス部長を務め、訪問看護事業所の立ち上げと運営・教育に携わる。2013年におんびっと(株)を設立。訪問看護ステーションへのコンサルティングや教育事業を手がけ、14年2月から訪問看護サービスをスタート。