医師に対する処方見直しの提案を
 訪問看護師になる前、私は大学病院に勤務していました。当時(25年ほど前)、調剤室にしかいなかった薬剤師が、病棟に突如、配薬や服薬指導をしに来るようになりました。しかし、患者さんからの評判は、「専門用語が多くて何を話しているのか分からない」と正直あまりよいものではありませんでした。また、私たち看護師が薬剤師と直接交流し、有効な関係を築いた記憶も、残念ながらあまりありません。ですが、ご質問のように、薬剤師の関心が在宅に向いてきたことを嬉しく感じています。

 現状では、在宅の現場で薬剤師に会うことは滅多にありません。会っても、患者宅で配薬さえしていかない、単なる“薬のデリバリー屋さん”程度の印象しか私にはないというのが正直なところです。薬剤師には、複数の医療機関から、拮抗する薬剤が処方されていたり、頻繁に睡眠薬などが処方されている場合などには、医師に対して積極的に処方の見直しを提案していただきたいと常々思っています。

 訪問看護師は初回訪問のたびに、その日のケア時間の2割以上を、内服薬の確認に費やしています。退院直後の患者さん・ご家族などは、自宅に帰ってきて、退院時処方で出された薬の用量が入院前と違うだけで、もうパニックに陥ってしまいます。その場に気のいい薬剤師が同席くだされば、どんなに力になることやら……。足を運ぶのがマンパワーなどの問題で難しい時は、どうぞ手を挙げて訪問看護が行っている「薬の整理」に力を貸してくださいませ!!大いに期待しています!

 ※本コラムでは、読者の皆さまからの質問を募集しています。訪問看護に関する現場の悩みにエキスパートがお答えします。投稿はこちらから。お待ちしております!


つぼうち のりこ氏●1988年東京女子医大付属看護専門学校卒。同大付属病院、日本医大多摩永山病院などを経て、98年から訪問看護に従事。セントケア(株)訪問看護部次長、(株)ミレニア訪問看護サービス部長を務め、訪問看護事業所の立ち上げと運営・教育に携わる。2013年におんびっと(株)を設立。訪問看護ステーションへのコンサルティングや教育事業を手がけ、14年2月から訪問看護サービスをスタート。