——それなのに、突然キャンセルされたわけですか?

 そうです。まさに“青天の霹靂”とはこのことで、最終的な契約締結をする直前になって、すべて白紙にされました。それ以後は、あっさりしたもんでしたね。紹介会社の担当者から「あの話はなくなりました」という連絡がきて終わりでしたからね。先方にも直接会っていましたから、白紙に戻した理由などの説明があるかなと思ったのですが、結局、先方からは何も言ってきませんでした。なので、紹介会社の担当者に理由を聞いてみたら、なんと私より若い医師が着任したそうです。

——なぜ若い医師に乗り換えられてしまったのだと思いますか?

 今から思うと、年収を高くふっかけすぎたかなと思います。お会いした方は私のキャリアをきちんと評価できる方だと思ったので、こちらも強気に出ました。当初、先方が提示してきた金額は現在の年収と同額の「1700万円」。そこで私は「2000万円」という額を示したんです。先方はそのとき「正社員としては無理だが、嘱託という扱いであればそれも可能だ」と言ってくれてはいましたが、実のところ「高すぎる」と思っていたのかもしれません。それに、若い医師であれば育てる楽しみがあるし、現実問題としてコスト面でもずいぶん助かりますからね。

——このときの医師紹介会社に対してはどのような印象を持っていますか?

 悪くはなかったですよ。私の意向をそのまま伝え過ぎたような印象はありましたが、親身になって仲介していただきました。実は今も転職活動を続けているのですが、現在付き合っている紹介会社の担当者も、細かな報告をしてくださるので安心感があります。

——転職活動を振り返って、もっとこうしていればよかったと思うことはありますか?

 やはり年収をもう少し低く提示しておけばよかったかなとは思いますね。あと、今から思えば、一度お会いした後、その次に会う日までの間が空きすぎてしまったのが良くなかったと思います。話があってから最初に会ったのが2週間くらい先で、その次の約束が2カ月後。そして、このアポイントが1週間前になってキャンセルされ、話がなしになってしまったわけです。私がもたもたしている間に、恐らく若い医師を紹介され、決めてしまったのだと思います。

 実はこの時忙しい時期だったため、私の都合で日程を延ばしてしまったんです。もう少し早く、先方の都合に合わせて会っていたら、結果は違っていたかもしれないなと思います。何事もタイミングが重要ですね。

 また、就職時期も1年後の来年4月と伝えていたんですね。家庭の事情で来年の春まで関西を離れたくなかったので。これもあまり好意的に受け取られていなかったと思います。先方はすぐにでも来てほしそうでしたから。今となってはもう取り返しはつかないことですが、今回の件はいい勉強になりました。これを教訓にして、今はとてもよい感じで転職活動ができています。もうすぐこの件より好条件の職場が決まるかもしれません。

——これから転職活動をされる方に何かアドバイスはありますか?

 できるだけ多くの医師紹介会社にアクセスしてみることをお薦めします。そうですね、最低でも3〜4社には当たるといいと思いますよ。大手の紹介会社だからといってすべての病院や企業の情報を持っているわけではなく、逆に小さなところでも優良な紹介先を握っているケースも多いですから。その会社だけが把握しているクローズな求人も少なくないですしね。

 実際に今、私が話を進めているところは大手企業ですが、紹介会社自体はさほど大きくありません。また、トラブルを未然に防ぐためにも、契約に当たって最低限必要な法的知識は身に付けておいたほうがいいかなと思います。何かあってからでは遅いですからね。