—— 就職先はどのように見つけたのでしょうか。

 レジデントナビのような説明会にも参加しましたが、就職候補先のほとんどが大学病院や大病院。大学病院や大病院に入ったとしてもやっていけるだろうとは思いましたが、「結局また医局に入らなければならなかったら…」と考えて、医師紹介会社のコンサルタントに連絡を取りました。メールで興味のある分野や希望条件などをやりとりした後、10施設ほど紹介されて、その中から関東の大手美容外科を2つ、今後拡張を予定している形成外科クリニック1つを選びました。細かい手技にある程度自信があったことと、高収入が見込めたことがその理由です。それから、夏休みを利用して見学・面接に行きました。コンサルタントが1日で3施設をいっぺんに回れるように配慮してくれたので助かりましたね。

—— どんな希望条件を挙げていたのでしょう?就職先の決め手は?

 勤務時間や当直の有無、休日の取得しやすさ、給与といった待遇面にこだわりました。A病院では、夏休みなどの休暇はそれなりに取れるものの、普段の休みは1カ月に4日。当直は5回、オンコールが7回あります。年収は1500万円ほどでした。

 今年4月から勤務する関東の形成外科クリニックは、勤務時間が11時から20時までで、休日も決まっています。それ以外の休みもわりと臨機応変に取れるようで、好印象を持ちました。院長が30歳代半ばで歳が近く、フィーリングがあったのもよかったですね。スタッフも含めて楽しそうに仕事をしている様子が伝わってきました。

 1年目の年収は1200万円ですが、2年目以降に実績次第でアップする形になっています。今後開設を予定している分院を任せたいとも言ってもらっています。ゆくゆくは地元に戻って開業したいと考えているので、個人的なリスクをあまり負わずにその修行ができる。チャレンジしてみようと思いました。

——転身・転職を考えている医師に、アドバイスをお願いします。

 医師紹介会社を利用する場合は、コンサルタントにそれまでの経歴や希望条件をしっかり伝えることが大切だと思います。自分も包み隠さず色々と伝えたら、コンサルタントも親身になって何でも話してくれた印象があります。

 見学・面接に行った施設以外にも、いくつか気になるところがあったのですが、訴訟問題が起きている、医師の入れ替わりが激しいといった裏事情をさり気なく教えてくれました。そういう病院のウェブサイトの医師募集ページは、一見すると魅力的な条件が親切丁寧に書いてあるので、何も知らなければ応募を考えるでしょうね。

 大学医局に入局しないと決めるまでには、やはり躊躇もありました。でも、やりたい仕事や条件を妥協して入局することが、果たして自分のキャリアアップにつながるのかと考えたとき、若い今だからこそ、色々試してみるべきだと思えました。40歳代になってから新しいことを習得するのは難しいでしょうし、転職を希望しても相手先に敬遠されることもあるでしょう。ただし、大学医局に戻る可能性がゼロではないなら、なんとかつながりを維持しておいた方がよいとは思います。