質問
都内で訪問看護師をしています。提携している在宅医の中に、常に“上から目線”のドクターがいて腹が立って仕方ありません。相手が看護師だけならまだしも、利用者や家族にも命令口調。ほかにも、患者の目を見て話さないドクター、専門用語を使ってしか会話できないドクターなんかもいて、ストレスは溜まる一方です。

回答者
坪内 紀子(おんびっと[株]代表取締役)


 訪問看護師が業務を行う上で、欠かせない存在がドクターです。その理由は明白で、訪問看護には主治医から交付される「訪問看護指示書」の存在が不可欠だからです。

 私の経験上、「訪問看護指示書」の出し方にはドクターによって特徴があります。大学などの大きな病院のドクターの指示書は、提供期間が「半年」、つまり最大期間で書かれてあることが多く、逆にクリニックのドクターは「1ヵ月」単位で指示する傾向があるようです。また、患者さんの病期は反映されない代物のようです。つまり、ターミナル期で「もって3ヵ月」と余命宣告を大きな病院で受けていても、ドクターの指示期間は半年。逆に、慢性期で今すぐに病状の変化は起こらなさそうであってもクリニックを受診している患者さんには1ヵ月単位で交付されることが多いようです。前者は交付に手間がかかるから、一方で後者は開業医としての“経営意識”が働いているからでしょう。

 話を元に戻します。多くの訪問看護師はその昔、病院でドクターと名目上は“医療チームの一員”として働いてきたものです。その病院でのドクターと喧々囂々(けんけんごうごう)のやりとりを在宅の現場でしてしまうと、恐らくその関係性は維持できないどころか、そっぽを向かれてしまうでしょう。

 なぜ在宅の現場では、本来なら利用者のことを想い共同作業(!?)を担っていくべきはずのナースとドクターの間で有効な関係が築けないのでしょうか?