医局外の転職に成功した医師から、転職活動の体験を語ってもらう本コーナー。第2回目は、今年1月に転職した消化器内科医の話。外科医として勤務していた病院で、内科の仕事もやらされるようになり転職を決意。医師紹介会社に求める条件を提示して病院を探してもらう方法だけでなく、「行きたい病院」を決めてから紹介会社を選ぶという方法もとったという。
—なぜ、転職をされたのでしょうか。
医局人事で働いていた前の病院では、外科医だったのですが、ある時から他科の仕事が回ってくるようになり、それに嫌気がさしたのです。当初8人の内科医がいたのですが、転職や開業などで次々に辞めていって、結局は4人という状態になりました。その間、外科医の人数は変わらなかったのですが、内科医の補充はありませんでした。
内科医が半分になってしまったことで、その分の仕事を並行するように指示が入り、最終的には療養病棟の内科の仕事と、本来の外科の仕事を両方やらなくてはなりませんでした。そうなると、その病院の外科にいる意義がないと感じるようになり、転職を決意しました。
内科医がきちんと補充されていれば、このタイミングでの転職はなかったかも知れません。ただ、その病院が告知していた求人情報を見ると、「この条件では、誰も医師は来ないな…」という厳しいレベル。休日の取得条件や給与面が厳しく、これを見て、その病院で仕事を続けることをあきらめました。現に、いまだに来ていないようです。
もう一つ、自分の勤務状況を改善したかったことも理由です。前の病院は自宅からかなり遠く、通勤に1時間以上もかかる場所にありました。また、給与や休みの待遇が、他の病院に比べて悪かったのです。外科医として働いている間は、チームとして動いていましたから、ある程度の我慢も必要かと思いました。でも、そこから身を引くのであれば、家の近くで待遇の良いところで仕事をしたいと思うようになりました。
—医局人事や開業という選択肢は?
医局人事で行く病院の状況はだいたい把握していましたが、行きたい病院はありませんでした。また、開業もほとんど考えませんでした。労務管理とか金銭管理とか、余計なことに気を回したくなかったのと、休みをしっかり取りたかったからです。開業してしまうと、経営が順調であれば長期の休みが取れる医師もいますが、ごく少数ですよね。1週間くらい休暇を取れるような環境で働きたいと思っていました。