——先生の場合は、紹介会社は利用されなかったんですね
そうですね。私の場合は、B大学院へ行く時ときも、C大学の医局へ移るときも、今の勤務先に転職した際も、すべて人からの助言や働きかけがありました。個人的には、転職は人とのつながりが大切だと思っています。でも、アルバイト先を探すようなときは、紹介会社を利用して、その時々の条件に合ったところを探していました。条件ありきで転職する場合は、紹介会社を利用するほうが効率的かもしれないですね。
——紹介会社を利用してみて、いかがでしたか?
紹介会社で嫌な思いをしたということはありませんでしたが、紹介会社を通じて働いた先で、嫌な思いをしたことが何度かありました。患者さんより利益を追求する姿勢が見られたり、診療システムに問題が感じられたり、コミュニケーション能力の低い医師がいたり…。
求人を紹介会社に全面的に頼っている病院というのは、もちろんすべてではありませんが、何かしらの問題を抱えているところも多いような気がします。特に、複数の紹介会社で常に募集がかかっている病院というのは、それなりの理由があると考えたほうが、いいのかもしれません。
そうしたことを見極めるためにも、何社か登録してみて、比較検討することをお勧めします。その際には、老舗やある程度名の知れた大手のほうが、リスクが少ないように思います。
——今後、転職を考えている医師へアドバイスをお願いします。
医局を離れるということに対して、敗北感を持つ人もまだ多いようです。B大学の医局にいたときも、関連病院への移籍が決まった先輩医師が、「本当は行きたくないんだ」と言って泣くのを見たことがありました。でも問題は、どこにいるかではなく、自分が何をしたいのか。そして、何をすることができるのか、ということだと思います。この、自分のやりがいと同時に、医師として社会貢献ができるかどうかが、大切だと思います。