——紹介を依頼するにあたり、希望した条件は?
まず優先したのは、日本整形外科学会による研修施設に認定されていて、臨床の経験が積める病院という条件でした。それから、実家がクリニックなのですが、そこへ手伝いにいくことを考え、自宅と実家の行き来がしやすい場所にあることも考慮しました。あとは、年収1000万円以上は欲しいということでしたね。
紹介会社からは、条件に見合った病院を3つ提示されました。そのうちの1つは規模が小さくて希望と合わず、もう1つは大学の医局から出向してくる医師が多かったので、それまでの勤務先と同じような印象を受けたためパス。結局、手術件数が圧倒的に多く、人工関節、脊椎など様々な分野のスペシャリストがそろっていた、現在の勤務先に決めました。
——転職には満足していらっしゃいますか?
わずか3カ月で、しかも働きながらの転職活動だったため、選択肢を広くできなかったのですが、結果的には良い転職ができたと思っています。
大学病院で勤務していたときは、ほとんど休みが取れませんでした。洗濯物を1カ月干しっぱなしにしていたら、「あそこの人、死んでいるのではないか?」と心配した大家さんが、実家に連絡を入れてきたことがありました(笑)。今は週に1度は研究日をもらい、土曜日は半日勤務で、日曜日は基本的には休めます。年収も希望を上回る金額になりました。何より人間関係が良好で、気持ちよく働けています。
今回の転職で利用した紹介会社は1社だけでしたが、深夜に登録したにもかかわらず、翌日の朝にはすぐに連絡をもらいました。担当者もできる方でしたしね。内科医の妻も、そろそろ医局を辞めようかと話しているので、またお世話になるかもしれません。
——ご自身の経験から、転職を考えている医師にアドバイスをお願いします。
大学病院へ入ったころは、自分が医局を辞めることになるとは思ってもいませんでした。おそらく順当にキャリアを積んでいれば、10年間は勤務していたと思います。専門医を取得する前でしたし、転職するにはそもそも不利なタイミングでした。
しかし、実際に転職してみると、臨床研修が積めるところであれば、早い段階で医局を離れるのも悪くないと思います。大学病院には、自分の専門以外には対応できない“井の中の蛙”のような医師が多くいますが、医局を出れば現実に即した医療に携われるようになります。
惜しむらくは、私にもう少し時間があれば、ほかの紹介会社を利用したり、転職先を検討したかったという思いはありますね。もしこれから転職を考えるのであれば、自分の納得がいくまで、時間をかけて比較検討してみるといいのではないでしょうか。