かねてより臨床を志望していたため、医局に残ることは考えていなかったという眼科医師。さらなる転職も視野に入れ、年収よりも経験や時間の確保を優先して、公立病院への転職を決めた。
——転職しようと思われたきっかけは?
学生時代から臨床を志していたので、異動の多い医局に残ることは考えていませんでした。先輩に紹介して頂いて、まずは私立医大の附属病院に勤務していたのですが、「専門医を取得するまで」という約束だったので、3年間ほどで次の職場を探すことになりました。
——現在の勤務先はどのように探したのでしょうか?
医師専門の人材紹介会社を利用しました。今から2年前に転職活動をしたのですが、紹介会社がたくさんあって驚いたのを覚えています。インターネットで比較検討し、最終的には2社に登録しました。
——2社に絞ったのはどんな理由ですか?
決め手はいくつかありますが、一番はサイトを見て信頼のおける会社だと感じた点です。広告ばかりが目立つような人材紹介会社は敬遠し、情報の検索がしやすく、情報量が豊富で、矛盾のない条件を表示しているところを選びました。よくあるのですが、地域と年収だけが表示されていて「詳細は、お問い合わせください」としてあるところは、信頼が置けないと思ったのでパスしました。
そうしてたどり着いた人材紹介会社ですが、幸いなことに非常によい対応をしていただきました。特に、担当者の人柄が良かったです。単に希望条件を聞くだけでなく、転職先でどんなことをやりたいのかといったことにも耳を傾けてくれる姿勢がありました。
——紹介会社に提示した条件は?
当時はまだ経験が少なかったので、私が提示した条件は「十分な症例が積めること」くらいでした。金銭面での交渉も特にせず、提示された金額でよしとしました。それまでの勤務先ではタダ働きのようなものでしたから、症例が多い勤務地であれば、先方の提示額でいいと思っていたのです。
4つの病院で面談を受けたところ、2000万円近い金額を提示してきた病院もありました。しかし、「年収と仕事量は比例して増える」と当時は思っており、自分の学習時間も確保したかったことから、年収はその半分以下でも、土日の勤務はオフである公立病院に決めました。
——現在の勤務先には満足していますか?
正直なところ半々です。どこの公的病院もあまり変わりはないと思いますが、昔から連綿と続く“暗黙のルール”があり、融通が利かないことが多いですね。また、職員の平均年齢が高くて、仕事も遅々として進まない。半面、転職の条件として重要視した「症例数」や「勤務日数」は守られているので、その点で納得しています。