——紹介会社を利用してみていかがでしたか。メリット・デメリットは?
会社によって、カラーの違いがありました。私が登録した2社のうち1社は「紹介数で勝負」といった感じで、次から次へと転職情報が送られてきました。それはそれで良かったのですが、この紹介会社は社員が定着しないのか、連絡をしてくる担当者がコロコロ変わり、相談する上で不安がありました。
もう1社は「量より質」という感じで、転職情報はあまり送ってこないのですが、希望条件を細かく吟味してくれている印象がありました。
こうした紹介会社を利用するメリットは、事前に様々な条件が明確になっていることですね。また、話しづらい金銭面の交渉が任せられる点もいいと思います。最大のメリットは、いろいろな病院の勤務条件を比較・検討が容易にできること、そして、自分で職場を選択できるということではないでしょうか。
デメリットとしては、全く知らない環境に身を置くことになるので、慣れるまでが辛抱だと思います。友人や知り合いの紹介とは違い、最初はうまくいかなくて当然だと思っていました。私の場合、半年くらい我慢の時期が続きました。
——ご自身の転職活動を振り返ってみていかがでしたか?
転職活動はそのものは約半年間でしたが、以前の病院に勤務しながらの活動だったので、もう少しじっくり検討しても良かったかもしれません。今となって、勤務先の情報収集を怠ったことを後悔しています。
最近はかなりの数の紹介会社があるようなので、転職を視野に入れている方は、普段から紹介会社のホームページを見ておいて、信頼できそうな紹介会社の目星をつけておくといいでしょう。
——最後に、転職を考えている医師にアドバイスをお願いします。
研究を望まれるのであれば、医局に所属すべきだと思いますが、臨床志望ならば、必ずしも医局所属である必要はないでしょう。個人的には、臨床を選ぶ方には「やりたいことができる職場」を選んで、積極的に転職されることをお勧めます。医師として、患者さんや周囲のスタッフとコミュニケーションが取れる方であれば、まず大きな問題になることはないはずです。専門医や認定医資格はあった方がベターですが、それを目当てに受診される患者さんは限られていますから、持っていないからといって転職を躊躇する必要はありません。
また、紹介会社を選ぶ際は、金銭面などの勤務条件だけでなく、「その先生の知識や技術も考慮しているか?」を判断材料にしてはいかがでしょうか。転職を考えるならば、それぞれ目的や希望があるはずです。それをうまく紹介先とすり合わせようとする姿勢があるといいですね。
例えば、内視鏡を専門とする医師が、転職先では「○○製の機械を使いたい」という希望があったとき、それに応えてくれる病院がどこかを教えてくれたり、病院側に交渉してくれたりするかどうかです。それをしてくれれば、少しくらい給与が低くても、医師のやりがいにつながりますし、患者さんも増えて、結果的には病院の利益になると思います。
病院を訪ねてくる製薬会社のMRさんでも、単にその会社の商品を使ってくださいとアピールされるより、「うちの商品は、こんな点が優れています」と言われる方が、耳を傾けたくなりますよね。紹介会社でも同じこと。「この病院で働けば、先生の実力がこんなふうに生かせますよ」といった情報提供をしてくれるところが望ましいと思います。
私は、今の職場を通過点だと思っているので、また転職を考えるときには、じっくり時間をかけて準備に当たりたいですね。その際には、紹介会社を活用して、やりたいことや条件面も存分にアピールしたいと考えています。