実は、求職に当たって、私はかなり厳しい条件を出したんです。まずは、必ず5時に帰れること。子供を都内の自宅近くの保育園に預けていて、その保育園に夜間保育がないため、必ず6時には迎えに行かなければならないからです。夫も私も実家が関西ですから、保育園の迎えを頼める人もいませんので。

 さらに、現在の仕事をすぐには辞められないので、週に1度の非常勤であること。車通勤ができて自宅から1時間以内で通えること。「こんな条件を受け入れる職場があるのか」と思えるような条件ですよね。

子育て中の女医は条件に合った職場でなければ続かない

——確かに、それだけ条件があると、なかなか合致した求人先を見つけるのは困難ですね。

 ええ。でも、私ほどでなくても、子育て中の女医ならほとんどの場合、何らかの条件が出てくるのではないでしょうか。条件に合った就職先を探せないと、医師として働けなくなる。実際、私の同期の小児科の女医も、7人中2人は結婚して夫の転勤で地方に行って、医師を続けられず、専業主婦になっています。仕事が見付けられないためです。せっかく勉強して医師になったのにもったいないし、小児科医が足りないといっているこのご時世に、社会的にも損失ですよね。

 仕事を紹介してくれるだけでなく、条件の交渉もしてくれるので、それも助かりました。例えば、募集要項では勤務時間が9時から6時までとなっていたら、「5時までにしてもらえないか」と頼んでくれたり、給与や交通費の支給の有無などお金のことも病院側と交渉してくれます。

 私の場合、紹介会社さんの交渉によって、日給9万5000円に加えて交通費が支給されることになりました。お金のことは自分では交渉しづらいので、ありがたかったですね。

——医局の人事を離れたという点についてはどうお考えですか?

 医局の人事が嫌で離れたわけではないので、関西にいればずっと医局人事で動いていたと思います。医局のつながりって、とても強いですからそこを離れる勇気はなかったでしょうね。

 実家の両親が近くにいるので、両親を頼りに子育てしながら仕事を続けていたと思いますが、もしそうなっていたら今のような生活は難しかったと思います。

 今は朝、子供と一緒に保育園に行って預けて、9時から夕方の5時まで勤務して、子供を迎えに行って食事の用意をして、一緒に食事をしてお風呂に入れて寝かせるといった生活です。子供と過ごす時間が長く持てていますし、子供を寝かせた後に勉強する時間も取れます。充実した1日が過ごせていると感じています。