勤務先と契約関係で、割り切った関係でいられるのも、医局人事にはないメリットです。例えば、今の仕事は1年契約ですから、契約を打ち切りたい場合は、互いに3カ月前に先方に伝えて話し合うことになっています。医局の人事のように突然、別の病院に行かされることがないので、自分の人生設計が立てやすいですよね。
——しばらくはこの勤務形態で働くご予定ですか?
様子を見ながら、子供がもう少し大きくなったら常勤で働きたいと考えています。一度、転職を経験しているので、次はもっとうまく自分の生活に合った勤務先を選べると思います。転職は、してみないとわからないことがたくさんあります。
例えば、保育所のこと。この病院には保育所があり医師も利用できますが、私はここに来るまで、医師が病院の保育所に子供を預けられると思っていなかったので、保育所がある病院を探すことを思いつかなかったんです。これまでの勤務先は、院内保育所は看護師のためのもので、女医は利用できなかったと思います。もし、次に転職するなら「保育所のある職場」という条件を加えるかもしれませんね。
紹介会社は我々が知らない情報を持っている
——今後、医局を離れて転職される医師にアドバイスを。
そうですね。自分で職場を探すのもいいけれど、人材紹介会社を上手に活用するといいんじゃないでしょうか。そして「こんな条件は無理じゃないか」とあきらめて妥協せずに、とにかく自分が仕事を続けられる条件を、ぶつけてみるべきです。
人材紹介会社の担当者はとても熱心です。私を担当してくれた方は、募集案件が出ていない病院にも電話をかけて、「こういう医師がいるが、医師は足りているか」と聞いたりしてくれていました。我々が知り得ない、「あそこの医療法人が今度新設のクリニックを作る」といった情報を持っている場合もあります。
利用する前は、登録すると個人情報が流出してしまうんじゃないかと、少し不安だったけど、そんな心配はないようですし、怖がらずに登録してみるとよいのではないでしょうか。自分の生活を大切にしながら働く方法がきっと見付かると思いますよ。