質 問

 現在、転職を考えています。早速、インターネットや雑誌の求人広告で仕事を探しているのですが、給料は良いけれど立地が悪いとか、その逆であったりして、好条件がそろった病院が見つけられません。どうすれば、理想的な転職先を見つけられるのでしょうか。(卒後10年目、35歳男性、消化器内科医)

回 答
全てを追い求めず、「給与」「勤務条件」「仕事内容」「職場環境」「勤務地」の中で優先順位を付けて。

 「全てが自分の理想通り」などという転職先は、そうそうありません。好条件がそろっている病院を探していたのでは、いつまでたっても転職先が見つからないかもしれません。

 求人広告を見る際に限らず、転職活動全般に関して言えることなのですが、大切なのは幾つかの項目を整理して、優先順位を付けることです。私が考えるに、まずは「給与」「勤務条件(労働時間など)」「仕事内容」「職場環境」「勤務地」の5つをチェックすればいいと思います。

 例えば、この5つの中で、仕事内容だけは絶対に妥協できない人がいたとします。「内視鏡の技術を向上させていきたいので、どんどん積極的に治療に取り組みたい。今の病院では残念ながら腕を磨くチャンスが少ないので、年間にこれだけの件数ができる病院に移りたい」といったケースです。

 このように、どうしても手掛けたい仕事があり、それを何より優先したいという場合は、特に医療の世界では「給与その他は二の次、三の次で構わない」くらいの気持ちで転職に臨んだ方が、後悔は少ないと思います。「給与は最低これくらい欲しい」「できれば自宅から何分以内で通勤できるところがいい」などと他の条件も付け出したら、候補を見つけるのはかなり厳しいと言わざるを得ません。

 絶対に譲れないものは何で、どの項目なら譲歩してもいいのか。転職の相談を受けていると、この部分が整理できていない人が意外と少なくありません。ぜひ活動を始める前に、きちんと優先事項を決めておいてください。

 案外多いのが、「お金の話をするのは格好悪い」というプライドのためか、本当は給与が優先順位の筆頭なのに、表向き、「そりゃ仕事内容が最優先だよ」と言う人です。転職の支援をするエージェントの立場で言えば、そうした建前を言われるのが一番困ります。医師紹介会社などで転職の相談をする場合には、恥ずかしがらずに、できるだけ本音で話してください。こちらとしてもより適切な勤務先を紹介できますし、ご本人、病院側の双方とも無駄な時間を使わずに済みます。

 自分が一番大切に考えているものは何か。自分自身の本心に向き合ってみてください。その方が効率的に転職活動を進められますし、最終的に自分に合った勤務先が見つかると思います。